初めて"名前のある役"。そしてダブルキャスト

「バンク・バン・レッスン」

1995年2月  アトリエT  作:高橋 いさを  演出:片桐 喜芳



これは私の4本目の作品。「1年生公演」といって、劇団の1年生のみで、1本芝居をつくり・する、というもの。

いわゆる実験公演?そんな感じに近いのかな。この時、他にも候補の台本は出ていて。

その1本は「ゴジラ」だった。あともう1本あった気がする。

結局投票でこの「バンク・バン・レッスン」になったのだけれど。



この簡単なストーリーは、こんな感じ。


ある銀行に緊張がみなぎっていた、なぜなら今日は、恒例の銀行強盗に備えての実践訓練の日だからだ。

まもなく、銀行強盗に扮した警備員らがやってくる。いったいどうしたらいいんだ。どぎまぎしている銀行員たち。


しかし予想に反してあっさり訓練は終了する。

襲ったほうも、襲われたほうも、何か物足りない気がしてもう一度やり直すことに。

幾分緊張感をおびる訓練に、けっこう満足げ。今度は「籠城」という設定を加えさらに過激に。

そして、それは隠された願望へと変わり、家族愛、友情、そして愛。

さまざまな感情を絡め、衝撃的な結末へと発展してゆく。



ここに来て、ようやく私は「名前のある役」をもらうことに成功。この前の「ヒデオギハラ」をのぞけば。

その名も「銀行員3 柳沢さん」。"ごうちゃん"とダブルキャスト。でも、初めて名前のある役をもらった。

台本をもらって。初めて自分の台詞のところに蛍光ペンで線を引く。このときの色は、忘れもしない、黄緑色。

今まで、周りの人が自分の台詞のところに線を引いているのを見ていて。

でも自分はどこにも引くところがなくて。真っ白な台本。


そんな私の台本が、黄緑の蛍光ペンでカラフルになった。

なんか、ちょっと、ランクアップした私の台本。そんな感じでかなりウキウキだった。



ちなみに今、というか近頃では、台本の台詞のところには線を引かないようにしている。

というのも、線を引いてしまうとその台詞だけ浮き出て、

自分の台詞しか覚えられなくなってしまうので。私は流れで覚えないと、覚えられない。

かといって、相手の台詞も覚えているわけではないけれども。



ちょうど当時、私の祖父が77歳にて結婚した頃であり。祖父にくっついてアメリカに行くことになっており。

アメリカにいる叔父に継祖母を会わせるためと、祖父の詩吟仲間との懇親旅行のような感じ。

せっかくベガスに行ったのに、私はまだ21歳になっていなかったので、公にカジノに入ることは出来ず。

こっそりと。そのあとは「サーカス・サーカス」という子供向けのところで遊んでいた。

空中ブランコなどを真下から見る感じ。あとは海賊船のアトラクションを見たり。冬なのに暖かかった。



で、アメリカ旅行から帰ってきて。再び猛烈に忙しい稽古とスタッフ作業の毎日。

しかも今回はすべて1年生でやらねばならないので、スタッフもほぼ1人状態。

でも終わりかけの頃には、卒業公演の4年生の方々もスタッフなどしていたので。

そんなには、寂しくはなかったミーティング。



今回ダブルキャストだったのだが。本音を言えば、ものすごくやりづらかった。

というのも、相手が"ごうちゃん"だったというのが大きいのだけれども。

彼女のアイデアに、私は始終あせりっぱなしで。

さらに彼女は前の年の夏「小説クラブ(作・演出:村上 秀樹)」にキャストで出ていたし、

その時の共演者だった坂や大木、三町とも2作目で、とても息が合っていたので。



ダブルキャストというのは、観客としてはとても面白いと思うのだが。役者はそこでライバル同士になる。

比べられる対象・相手が直接に存在するために、感想が直接的になり、面白い半分、恐怖や不安が半分。

役者同士でそんなに表立って「ライバル心バリバリ」ということはないが。

笑顔の裏には「負けないぞ」という気持ちは絶対にあるはずだし。

さらには相手がどんな芝居をするのか、そして自分はそれよりももっと面白いことやってやるぞ、みたいな。



でも、この頃の私は完全に出遅れた。というのもアメリカなんかに行ってたのもあるし。

ちゃんと相手がいる役というのもやったことなかったし。"ごうちゃん"は面白いし。

今でも覚えている、そのほとんどのシーンは、他の人の芝居。



最後のほうで強盗の"坂"と"三町"と"ごうちゃん"が3人で歌うシーン

これは台本にはなかったのだが、今でもしっかり覚えている。

それに合わせて踊る"坂"。そして"三町"が最後に「Want you!!」という。この振り返った時の彼の顔。得意げな。

"ハルカサン"の本気平手打ちの「このぉ、いぃくじなしぃぃ」。力強かった。打たれた"片桐"、真剣に痛い。

"大木"の「安い安い、だって今が旬だもの」のオペラ調の言い回し。

"青木"の「危ない危ない危ない危ない」のシーン。一人だけボール蹴っていた"片桐"。



嬉しかったのは、あの「ランドセル」に出ていた"田中栄ちゃん"と芝居できるんだぁ、と思ったこと。

彼は私よりずっと年上で先輩だと思っていたので。まさか同じ1年生だとは思っていなかった。

彼の支店長。うそ臭くて、ひっくり返った声なんか、面白かったな。



自分のは自分で見れないというのもあるけれども、あまり自分でやったことは覚えていない。

でも、やっていてとても楽しかったんだと思う。

もっといっぱい芝居をしたい、と真剣に思った。で、芝居だらけな2年生になっていくのだけれども。



この2月のある日。節分だったので、皆で稽古後に「豆まき」をしようということになる。

この時初めて、日本のある地域では豆まきに「落花生」をまくことを知った。"田中"とか主張していたような。

なぜかというと「まいたあとに拾って食べられるジャンか」。

そうか、まいた豆は拾って食べるのか、とカルチャーショック。

鬼にとっても。大豆の小粒も小さくて痛いが、落花生の大きな塊もさぞかし痛かろうて。

皆でサークル棟の前で「鬼は外」といいながらお互い無茶苦茶にぶつけ合って

でそのあと皆で拾って食べた。

とてもおいしかった。


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