噴水(水)の上の火の公演

「走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト〜

1996年 4月26・27・28日 学芸大噴水広場特設舞台  作:野田秀樹(夢の遊眠社)  演出:飯野 邦彦




これは貴重なことに、この時のチラシがwebで見れます。
劇団阿佐ヶ谷南南京小僧 に飛んで
ここの「米豆商店→作品棚→チラシ画:劇団漠のスクロール」で見れます


「入場カンパ制」とあるが、これは、入場料をカンパで集める、というもの。
カンパって分からない人はいるのかしら、人からお金を募ること。
その昔は学校でもD-BOXなるものもあったそうだが私は漫画でしか見たことない。

カンパ制の芝居は、芝居が終わってから役者は出口へと走り
いろいろな入れ物(カンパ箱)を持って「ありがとうございました!!」といいながら
「カンパのほうにもご協力お願いします!!」といって、カンパ箱を差し出す。

見終わった観客は、自分で入れたい金額をその器の中に入れる。
もちろん、払いたくなければ払わなくても良い。
このカンパは誰かの身内の方々が来ると「のし袋」が入って収穫が一気に跳ね上がる。

このときのカンパ箱は受付の子達が作ったり、
役者が芝居中に使っていた帽子とかだったり小道具だったり。

こんな風に漠では入場料を取らないで芝居することなんかも多かった。
入場料をとっても300円とか500円。だった気が。

なぜこんなに安くて芝居が成り立つのか、それは場所代がかからなかったからだ。
だから芝居のノルマも大体1万円台。高くても2万円台で
3万円台だと大体会議となり、出演役者数がすごく少ない芝居だった。



「走れメルス」は、鏡の「こちら」と「むこう」の2つの世界が存在する物語。
下着泥棒の久留米のスルメ。大スターのメルス・ノメルク。

久留米のスルメはある日、下着泥棒中に芙蓉という少女に出会う。
芙蓉は青春歌集、零子は鏡を持っていて
それが「こちら岸」と「むこう岸」を繋いでいた。

一方、メルス・ノメルクは、常に皆の注目を集め
桐嶋ヨウコと少女達に追いかけられる存在。

『主が死ぬと部下にするの?メルス』(まだ覚えていたよーー)という
不思議な疑問形を手がかりに
こちら岸と向う岸で展開される自分探しの物語。

あの「走れメロス」とは、ほとんど、ほとんど関係ありません。



もうこれは、学校の噴水の上にパイプで土台を作り
ステージ用の板を敷き詰めて、そこを舞台とした。
噴水に舞台だから、まず水を抜かないといけない
そして、掃除をしなければならない

掃除中にいろんな魚がいたような気もするし。
変なものは出てこなかったとは思うのだけれど
とにかく枯葉がすごくて、臭くて、汚かったのは覚えている

舞台設営のために汚いジャージでせっせと噴水掃除
その横には、春の装いをまとったきれいな格好の大学生たちが歩き
掃除をしている我々を好奇の目で見たものさ

特にこの準備の頃は大学の入学式も終わり
ピッカピカの新大学生がうろうろしていたものさ
そんな彼らに我々の行動はまったく理解できるものではなかったと思う。

漠に入った頃は、このジャージで歩き回って変な目で見られることにすごく敏感で
恥ずかしいからいつも下を向いていたのだが
この頃になると、私も3年。そんな感覚も麻痺した。
「見るなら、見れば??」みたいな。こうなったらおしまいだよな。

そんな中でも、やはり類は友を呼ぶ、虫は明かりに群がる(ちょっと違うな)
こんな汚いカッコウの我々のところにやってくる入部希望者もいたものだ
中でも傑作は"どどん"で、彼女は我々(全員役者)のところに来て
「あのー、役者の方々は、どこですか??」と、のたまわった
俺様がむすっと「私たちです・・・」と答えたとかなんとか

そうだろうそうだろう、私も最初、芝居の「ランドセル」を観た時に
その紅一点の女優"アキさん"が出ていたのだが
本場終わった次の日にジャージでリヤカーを引っ張っていた彼女に
頭をガツンとされたようなショックを受けた
基本的に、役者がそんなことをするとは思っていなかったので



この時、なんと、新入生なのにもかかわらず、この芝居に参加したツワモノがいる
大ちゃんとshun君。大ちゃんなんかは噴水清掃も手伝い
芝居にもキャストとして参加。さらにshun君は「手」の巨大な看板を背負い
舞台上のとても危なく重く扱いづらい巨大扉の開閉役を務めた



そう、舞台上には3.6m×3.6mの大きな扉(上の絵が描いてある部分)があり、
何度か芝居中にそれが開閉しあちら側とこちら側を分けていた。
ラスト、それが観音開きに真ん中から開くと向こう側で炎がボウボウ。

これは、屋外で、水と、とても贅沢に火を使った芝居であった。
今の芝居で残念なことが、もちろん小屋の関係だけど
本物の水と火を使うことは難しい。
特に火は「消防法」がどうのこうので、ほぼ劇場では不可能だ。

このときの「火」も決して大学側が全面的に認めていたわけではないが
実際に消化面の作戦も練った上で
係りの人の目の前で火の実演をして最終的には許可が下りた。

でも本番では、大学側(学生課)に見せたときよりも倍以上の灯油を使用。
あまりに炎が巨大でちょっと焦がしてしまったために木の枝を切断。
その分、迫力は伝えられたんじゃないでしょうか。はい。

野外ということもあり、そこで大音量で音楽を流すので
近所からの苦情が来たりして、
それがエスカレートしてパトカーが着たり(来なかったんだっけ?)。
守衛のおじさんやお兄さんは何度も来たけど
そのたびに舞台監督だったもっちー氏が出ていった



私の中で、印象に残っているのは
舞台が開くときに、待機場所のテントから舞台ソデに行くときのこと。
客に見えないように、体をかがめてダッシュしていくのだが
この時はほかの役者はまだ出番ではないので
出番の役者たちは舞台ソデに走った。俺様と私同じ方向だった。

この時の、この彼の背中のかっこよさは、いまだに忘れられない
なんと言うのだろうか、緊張感もあったのだが安心できたというか
しかも舞台の明かりに、彼の背中が逆行になり(ヒャー)
「オトコ」って感じだったのだ。しかも漢字で「漢」、みたいな
そして、彼は物干し竿にしがみついた状態で、舞台が始まる。

他には、メルス登場の時に使った、フィンガーファイブ(汗)の「ミスティ」ってやつ
それを歌うメルスと踊っている男どもの馬鹿っぷり。
メルスのへそ毛の時の3姉妹「メルスの、へそ毛よぉぉぉ!!!」の台詞
「お祭りマンボ」での踊り。特に、その中の女装の"坂"
刑事チーム。カラフルなコートにカラフルな帽子。
そして、「スルメ」が「メルス」になる瞬間。

スルメがタイマツ持って「俺がメルスだぁぁぁぁぁ」って言った
物干し台の下着にも火をつけて、火を持って彼は走り回る
そのとたんにメルスは架空の人になっちゃう

「お砂糖に火を」という芙蓉の言葉を信じて、
スルメは「お里」に火をつける

・・・・・・火。ひ。

この時私は小道具でした。
実は、このスルメの持つタイマツも私が管理してました。
このタイマツに灯油をしみこませて準備するのは、私の役目でした。

さらに、ラストの手前、私はウェディングドレスで登場するのだが
自分の出番が終わったあとに着替えるまもなくすぐに舞台裏へとダッシュし
ウェディングドレスのまま、私もタイマツを持って後ろの舞台に火をつけまわる
それも扉が開くまでの数分間で。

扉が開いたときには最高潮に火をメラメラさせないといけない
ウェディングドレスのまま、かがり火を手に持って。

この舞台は野外なので、そんな裏準備をしている私の姿も
観客には見えないこそ、通行人などの一般人には丸見えです
「あの女、きちがい」。やばいくらい、怖い情景だったと思う。

こんな感じで、実際本番中に結構火を取り扱ってた位置ではあった。
で、ある日の本番で。思ったようにスルメのタイマツに火がつかず迫力に欠けたことがあった。
スルメが火で燃やして走り回るときは、本当に本物の火の迫力がほしかったので
私は彼のタイマツを準備するときに、ちょっといつもよりも「ちょっと」多めに灯油をかけておいた。



で、本番。
その「ちょっと」が、かなりだったらしく
スルメ役の"俺様"も本番中、ビビルくらいの大きな炎に。
タイマツ、ボーボー。でも演技をとめるわけには行かない

燃やさなくてもいい下着にまで火が回り
タイマツから流れて落ちた灯油に火が付いて、舞台上もちょっと炎上。
それを確か、消そうとしたんじゃはないかな
挙句の果てには"俺様"の足にまで火が付いた。

舞台上でそんなことが起こっているとは露知らず
私は相変わらずウェディングドレスでせっせと後ろに火をつけまわっていたのだ
あの時も、そして今も反省しております。はい。


モドル       もっとモドル

 

 

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