撮影の裏話、色々。その5。
「L'Ilya
〜イリヤ カツラ 鬘」
2000年製作 監督:佐藤 智也
今回の撮影は、最初は夏の間だけ、まぁ2ヶ月程度ということだったのですが
その間に私の芝居が入り、スタッフの方々の仕事も入り、また私の添乗の仕事も入り、
さらには共演者の人同士で日程が合わなかったり、天候に踊らされたり、場所に踊らされたり、と
なかなか条件が揃わなくて、撮影はずれにずれにずれまくりました。
特にこの頃、私は芝居もし、その本番が終わるや否や、次は海外に飛んでいたり、と。
監督が芝居の製作の人に連絡して初めて私がカナダにいることを知ったりだとか。
ハイ、ほとんどの原因は、この私だったんじゃないか、と分かっています。はい。
ということで、実際の撮影は1年を超えるものとなってしまったのであった。
で、役者として大変だったこと。これは自業自得なのだが、「外見」のキープ。
1年もすれば、というか、人間、髪の毛はどうしたって伸びちゃいます。
その髪形を撮影の時に全て同じにしなければ、映像上でもちろんつながりません。
私は最初のシーンの髪型自体が、カットしてから1ヶ月伸びているという中途半端なものだったので
その中途半端を1年間キープする、という神業などできるわけが無く。仕方が無いので伸ばしっぱなし。
だから、本来は撮影の前に美容室に行って、きまった形にカットしてもらったら
同じ美容室に通い、同じ髪型をキープしてもらう、と。つまり最初の髪形が大切なのだ。
これがルール。で、私はこのルールを思いっきり無視した形となってしまった。
それまではシーンも時間を追ってだったので、髪の毛の伸びも、まぁなんとか許されていたが、
前の時間のシーンを撮ることになった時に、やはりそれでは許されないということになりまして、
撮影が始まって、初めて髪の毛を切ることにしたわけです。
その時に同じ髪型にするために、スチールの写真を持って。美容師に「同じ髪型にしてくれ」と注文を。
(美容師は「何でだろう??」と思ったに違いない。)
でも、その時の髪形も中途半端に伸びた髪形だったので、その「半端さ」はどう頑張っても再現できるものではなく
出来上がった後。自分でも青くなるくらい、私の髪は短くなりすぎていたのであった。
監督やカメラマンに会ったときに絶句され。ちょっと、やばいなぁ、と思いつつ。
で、苦肉の策として。カツラをつけることになった。
ということで、私はこの映画の中でカツラでいるときがあるのだ。さて、それはどこだったんでしょう??
恋人が死んだ後、なんシーンか、私はカツラでやっております。
ちなみにこのカツラもその場にいた島村さんに急遽カットしてもらった。
で、撮影の時は私の髪形ばかり気にしており、気がつかなかったのだが。
私は髪型以上に、実は「顔」のほうが変わってしまっていたらしい。
これは出来上がってきたフィルムを確かめていた監督やカメラマンの野崎さんが驚いたらしいが。
最初と最後で私の顔つきは驚くくらいに変わってしまったそうだ。(最初の頃は丸まるしていたのに)
まぁ、映画では時間の流れにうまく流れて、そんなに目立ってはいないんじゃ、無い、かな(希望)。
こうして役者として、私は髪型の管理も駄目。自己管理も駄目(体重は変わらなかったはずだが)。
そんなことも暴露してしまった撮影なのであった。
モドル
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