撮影の裏話、色々。その3。

「L'Ilya 〜イリヤ  銃で自殺」

2000年製作  監督:佐藤 智也




関係ないけど、いや、あるけど、

銃で撃って死ぬことを「銃身自殺」って言うんですっけ???あれ??分からない。



2回目の撮影は、ちょっと間を空けた1999年の夏前。

このお相手の内海君は銃を口でくわえて頭をぶっ飛ばしました。2回目の撮影なのに結構内容はヘビー。

しかもこの日、天気も悪かった。雨。でこの建物は廃墟であるが、場所は駅からちょっと歩いたところで。

で、裏は藪。蚊。蚊が。建物の中もいたずら書きや、多分夜とか悪い人の溜まり場になっているに違いない。



今回の撮影は火薬を使って本当に爆発させるというもの。

そのため、その道のプロの方がいらして、役者(の頭)に仕掛けを作る。

銃で撃った瞬間に飛び出るもの。もちろん「血」なので、血糊も入ります。

その他に、頭を撃っているわけですから、もちろん脳みそも吹っ飛ぶでしょう。

ということで、脳みその代わりに「ゆで卵」なるものも準備されていて、驚きと関心。実際は使いませんでしたが。



でもここでちょっと問題発生。肝心の火薬が、ない。

ということで、近所の花火屋さんに向かって走る。集めてきたのは、ごく普通の花火。

で、この花火を解体して火薬だけを取り出し、それを集めて爆発させたのでありました。

さすが、職人。その作業もチョチョイノチョイでした。



その時間差があって、実はこの銃で自殺のシーン、最初と最後で映像の暗さが違います。

というのも、時間がそれだけ素直に経過したからなんだけれども。

最初撮影していた時はまだ明るかったのだが、肝心の自殺シーンになって日が傾いてきてしまった。

今回は明るいうちの撮影だったので、照明さんもおらず。ギリギリで写るかどうかで撮影されたのだが。

出来上がりを見てみると、なんか、そのほうがいい気がしませんか。それだけ青年が葛藤した時間があったような。



この銃で撃つとき、本当に音が大きくて、周りの人もその音の大きさにビックリだったんだけれども。

しかも撮影も一発勝負。銃の引き金を引く瞬間と爆発させる瞬間もあわせないといけない。

失敗も出来るけど、時間的、火薬的に失敗は許されない。

そんな緊張した中、撮影は始まったのであった。



私だったら、きっと爆発した後、その音にビックリしてぴくぴく動いてしまっただろうに。

そこはさすが役者の内海君。しっかり白目をむいて死んだのでありました。

撮影が終わって真っ先にみんなで彼の後頭部が焦げていないか確認。

大丈夫で、みんな安心。

前回の村瀬さんといい、今回の内海君といい、すばらしい死にっぷりで。



私の中での反省点は、このシーンはビデオで声も同時録音だったのだけれども

その声質が後のほうで役に合わなくなってきてしまった事。

このときの私はかなり怖い、事務的な会話をしていると思う。

それはこの前の首吊りの時もそうだったのだが、この頃私の中でまだイリヤが固まっていなかった。

つまり自殺を平気で取っちゃうような、ちょっとイッチャッタ芸術家としてイリヤを考えていたので。

後からどうしてもここのシーンの声が浮いているような気がしてならない。これだけがちょっと心残り。



ところで「イリヤ」の中に謎の音が入っているんですが、監督が教えてくれました。

このときの撮影のシーン。映画では冒頭の廃墟で、内海君がドアを開けようとして開かないところ。

離れた時に中から「ドーン」という音が鳴るんですが、実はこれ、誰もいないはずなんです。

だから音がするはず無いんです。なのに録音されているんです。あれは何でしょうね?

・・・・・ラップ現象ですかね。怖いですね。

ふふふ……。(佐藤監督のメールより)



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